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June 24, 2005

読む。

 ヤマトフの逃亡―山田風太郎傑作大全〈19〉を読んでいます。

 表題作の他に、5編の短編が収録されています。
 どれも面白いのですが、
 個人的には「ヤマトフの逃亡」が好きです。

 謎の多い、遠州・掛川藩士、橘耕斎という実在の人物を主役に据え、
 虚実入りまぜた傑作になっています。
 本編では「立花耕斎」という表記になっています。

 以下、ネタバレになっております。
 未読の方、更に、これから読もうと思っている方が
 いらっしゃるならば、これより先を読まないほうが、
 より物語を楽しめると思います。
 


 橘耕斎は、ロシアで世界初の日露辞書『和魯通言比考』を
 ゴシケヴイッチとともに編纂した人物です。
 何故彼がロシアに渡ったのかは、諸説入り乱れています。
 「ヤマトフの逃亡」は、その「何故」の部分に、
 彼の人物造形から光をあててゆきます。
 立花耕斎は封建社会に組することのできない
 アウトローであるとともに、
 日本人への愛憎に燃える男です。
 その立花耕斎が心底絶望し、あかんべえをして国から
 飛び出してゆく。
 『忍法忠臣蔵』の主役、
 早すぎたアウトロー無明鋼太朗の歩いて行く先には
 闇しか待ち受けていないような印象が残りましたが、
 立花耕斎の駈けてゆく先には、
 希望が見出せます。
 ラストに危険人物として
 意外な男が登場したのには驚きました。

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