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July 09, 2005

読む。

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 ロシア士官の見た徳川日本―続・日本俘虜実記
 (ゴロウニン/講談社学術文庫)を読みました。

 『日本滞在日記』を記した、全権大使レザーノフは
 幕府と交渉決裂した後、絶望し、
 部下に所謂「蝦夷地乱妨」を行なうように告げます。
 しかし、思い直し、その通達を撤回するのですが、
 部下達は撤回を無視し、決行します。
 結果、幕府は緊張状態に陥り、
 ちょうど通りかかったゴロウニンを卑怯な方法で捕縛します。

 『ロシア士官の見た徳川日本』は
 ゴロウニンが捕縛され、二年三ヶ月の間拘束されたときの
 回想録『日本俘虜実記 (上)
 『日本俘虜実記 (下)』の続編です。

 『日本俘虜実記』はゴロウニンの視点で、
 捕らえた日本人とその時の自分達の状況を
 誇張も偏見もなく描いています。

 時に、手厚く待遇され、時に、冷酷に待遇される。
 自分達がいつ釈放されるのか、それとも殺されるのか
 全く分からない中での
 弛緩と緊張の連続。精神に異常をきたす仲間。
 その中で、冷静に立ち回っているゴロウニンは
 強靭な精神の持ち主と言えるでしょう。

 『ロシア士官の見た徳川日本』では
 捕らえられたゴロウニンを助けようと奔走する
 海軍少佐リコルドの手記をあわせて読むことができます。

 リコルドはゴロウニンとの人質の交換として
 日本人を連れてきますが幕府と交渉決裂し、
 苦しまぎれに高田屋嘉兵衛を拉致します。 

 しかし、この高田屋嘉兵衛は神の使いのような存在でした。
 嘉兵衛は全ての状況を理解し、
 リコルドにゴロウニンの生存情報を与え、
 ゴロウニン解放の橋渡しを約束し、
 事実、リコルドの期待を裏切りませんでした。

 感動的なのは、宗教も文化も生活環境も全く違う
 リコルドと嘉兵衛が親友になったことです。
 リコルドが不安がると嘉兵衛は
 「テン・タイショ!」と言います。
 「艦長よ、天上の神に頼れ!」という意味らしいです。
 ふたりのあつい友情、信頼関係が無ければ
 ゴロウニン解放は無かったかもしれません。

 ゴロウニン解放後、ふたりは別れるのですが
 その時のディアナ号全乗組員が嘉兵衛に向かって
 「タイショ(大将)、ウラー!」の三唱をします。
 それに応え、嘉兵衛は「ウラー! ディアナ」と
 声を限りに叫び返します。

 感涙なくしては読めません。

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