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August 15, 2005

読む。

ninpousekigahara1

忍法関ヶ原―山田風太郎忍法帖短篇全集〈7〉

(山田風太郎/ちくま文庫)を読みました。

 どれも面白いのですが、
 「忍法小塚ッ原」が好みです。

 内容は……、
 奇怪な首斬り役、鉈打天兵衛の持つ人間存在への不信
 「当人も幸福と思わず、生きる値打ちもないのに、何故に生きたがるのか」
 「不幸で値打ちもない人間にもかかわらず、何故自分にこだわり続けるのか」
 という疑問を解消するために、首のすげかえを決行する。
 頭は己、身体は他人になった場合身体を動かしうるのは己か?はたまた他人か?
 頭が他人、身体が己になった場合は?
 そして、その実験を受けたものたちの運命は?
 というものです(凄い乱暴に解釈しています……汗)。

 鉈打天兵衛が抱いているのは非常に根源的な不信です。
 最近も、こういった悩みを内包した作品がありますよね。
 アニメ『攻殻機動隊』などでは、
 登場人物の機械の身体は入れ物としてしか機能していません。
 「魂」は「ゴースト」と呼ばれ、
 入れ物を持たなくてはならない己(魂)は、何と不自由な存在なのか。。。
 といった「魂」の不自由さを描いています。
 グレッグ・イーガンの諸作品では、
 ものを思う脳は本当に己のものなのか?
 機械の身体に己の脳内の履歴情報をスキャンした場合、
 そのスキャンした脳を持つ機械の身体は本当に己なのか?
 といった「魂」の存在の不確かさを描いています。

 医学の世界では、脳とか遺伝子についての研究は進んでいるようですが
 「魂」についての研究は棚上げされたままです。
 「魂」と「肉体」が分離したとき
 人はどちらを己と認識するのか?
 それとも、どちらも己なのか?はたまた、どちらも己ではないのか?
 ありえない話ですが、興味深い問いです。
 そして、この問いに対する一つの答えとして
 本作品を読んでも面白いのではないでしょうか?
 鉈打天兵衛は最後に何を悟ったのか?
 ラストの歴史的事実へのリンクはまさに忍法!

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